どっちのクジの方がいいの?

投稿者: | 2017年6月21日

概要

  • 当たる確率が分からない時に2つのクジのどちらが良いかを決める
  • 何回くらい引けば本当にいいクジの方を選べるようになるのか?
  • 当たりの金額や、確率が変わると引くべき回数はどう変わるのか?

問題設定

次のような状況を考えましょう。

1万円と2万円が当たるクジ1, クジ2があります。

どちらのクジも当たる確率は分かりません。

また、外れた場合は残念賞として100円と200円がもらえます。

クジ1,クジ2の両方を1回ずつ引いていき、

どちらが当たりやすいかを特定しましょう。

つまり、当選確率が隠された状態で、 どちらのクジの方が得なのかを、 クジの結果から推定しようということです。

推定に基づくクジの選択

○当選確率の推定

クジ1,クジ2が当たる確率をそれぞれ \(p_1,p_2\) とします。 当然この値は不明なので、それまでに出たクジの結果から 推定する必要があります。

クジ1の結果を \(u_1,u_2,\cdots,u_n\)、 クジ2の結果を \(v_1,v_2,\cdots,v_n\) とします。 ただし、\(u_i,v_i\) は共に、\(i\) 回目のクジの結果が 当たりであれば 1、外れであれば 0 とします。

当選確率の推定を、単純に、引いた数の総数のうちで 当たったクジの数とすると、 クジの当たる確率の推定値は \(\bar{p}_1,\bar{p}_2\)\[
\bar{p}_1 = \frac{\sum_i u_i}{n} \\
\bar{p}_2 = \frac{\sum_i v_i}{n}
\]
となります。

○期待値の高い方を選択

この確率の推定値を用いると、クジを引いた時の期待値 \(Z_1,Z_2\) を推定することがでします。 クジに当たった時の報酬を \(x_1,x_2\) (問題設定では \(x_1 =\) 1万円、 \(x_2 =\) 2万円)とし、 クジに外れた時の残念賞を \(y_1,y_2\) (問題設定では \(y_1 =\) 100円、 \(y_2 =\) 200円 )とすると、 \[
\bar{Z}_1 = x_1 \bar{p}_1 + y_1 (1-\bar{p}_1) \\
\bar{Z}_2 = x_2 \bar{p}_2 + y_2 (1-\bar{p}_2)
\]
となります。

この時、期待値(の推定値)が高いクジを選べば、良いクジを選んでいると言えそうですが、 \(\bar{Z}_1, \bar{Z}_2\) はあくまで推定値なので、それまでのクジの結果次第で確率的に変化する値です。 特に、クジを引いた回数が少ないほど、\(\bar{p}_1,\bar{p}_2\) の誤差が大きく、誤った選択もしやすくなります。 それでは、何回クジを引くとこの選択は当たるようになるのでしょうか。

シミュレーション

まず、当たる確率を \(p_1=0.3,p_2=0.1\) として、 \(n\) 回クジを引いた時点で上のようなクジの選択を行うシミュレーションを行ってみます。 期待値を計算してみると分かりますが、 この設定ではクジ1の方がお得になります。 シミュレーションでは、1 万人の人が同じクジについて上記の通りの選択を行い、 そのうちの何割の人が \(n\) 回目でお得なクジ1を選択できているかを調べています。

上のグラフがシミュレーションの結果になっていて、 \(n\) 回(横軸)クジを引いた時の正しいクジを選べる確率(縦軸)を表しています。

クジを引く回数が増えていけば徐々に正解を選べる確率が上がっています。 10 回ほど引くとクジ1を選ぶ確率は60% を越え、そこからも徐々に確率が増加しています。

一方で、クジを引く回数が少ないと、過半数の人が期待値の小さいクジ2を選んでいます。 実際、あたりもはずれも金額的にはクジ2の方が高いので、 確率が分からなければクジ2を選んでしまうというのは直感的にも納得できそうです。

期待値の大きさの違い

クジ1を最終的に選ぶようになるのは、クジ2と比べて期待値が大きいからです。 ということは、クジ1の期待値がより大きくなった時、 よりクジ1を選びやすくなると考えられます。

では、見てみましょう。 当たりの確率は変えずに、クジ1が当たった時の賞金の金額を増やすことで、 クジ1の期待値を大きくしてみます。

上のグラフはクジ1の当たりの賞金を1万円、1万5千円、2万円と変えた時の結果です。 当然、金額が大きくなるとクジ1を選ぶ確率も上がり、 賞金が2万円の場合、10回目で、80 % の人が正解を選ぶようになっています。

当たりの確率の大きさの違い

期待値を基準に選んでいるので、期待値が変われば選択する傾向が変わるのは当然です。 では、期待値が変わらなくても選択の傾向が変わることはあるのでしょうか?

ということで、今度は期待値を変えないように当たりの確率を変えるとどうなるかを調べてみます。 ただし、確率だけ変えると期待値も変わってしまうので、 賞金もそれに合わせて変化させます。

上のグラフは、期待値を一定にしたまま、 クジ1が当たる確率を 0.1~0.9 まで変えた時の結果を示しています。大まかな傾向として、当たる確率が増加するにつれて、 正しいクジを選ぶ確率が増加していることが分かります。

また、0.1~0.5と0.7~0.9では、 クジを引く回数に対する確率の変化の仕方が違うことが分かります。 0.1~0.5については、回数が増えるほど確率が増加していますが、 0.7~0.9では、途中まで確率の減少が起こっています。

0.7~0.9だとクジに外れる確率の方が小さいので クジを引く回数が少ないと、外れを無視する傾向が現れます(参考:サンプリングの不思議)。そして、クジを引いているうちに、外れも出ることに気づく人が多くなるので、 クジ1を選ぶ人は一時的に減少します。

0.9 の場合は、特に確率の変化が波打っていることが気になりますが、 おそらく、確率推定時の試行回数 \(n\) による離散化の影響と思われます。

関数定義


 

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