中身以外で動画の良さを決めるもの

投稿者: | 2017年10月13日

概要

  • 動画を見ている時、その動画が良いかどうかは動画の中身だけでは決まらない!
  • 実験結果から示唆されている動画の良さに影響を与える様々な要因を紹介します

動画の中身以外も大事

動画の中身(コンテンツ)は動画作成者の腕によるところが大きいですが、

同じ動画でもその見せ方によって見る人の感じ方は変わってくるものです。

 

分かりやすい例は、動画が頻繁に止まってしまう時でしょう。

同じ動画を見るにしても、スムーズに再生される方が、

途中で何度も止まるより良い動画を見たと感じる人が多いはずです。

 

他にも、直前に見た動画が面白かったから、

次に見る動画へのハードルが上がってしまうということもあるでしょうか。

 

この記事では、実験で確認されている

動画のコンテンツそのもの以外が、

動画の良し悪しを左右するような状況について紹介します。

(参考文献は全て記事の末尾に掲載)

解像度の影響

動画の解像度が悪いと動画自体が見づらくなってしまうので、

解像度の影響があることは真っ先に想像がつきます。

解像度と言っても何の解像度かで影響の仕方が

変わってくることが分かっていて、中には意外な結果もあるかもしれません。

画素数とフレームレート

解像度と言っても、空間の解像度か、時間の解像度かという分類ができます。

解像度と聞いて始めに思い浮かべるのは、おそらく、空間の解像度でしょう。

こちらは、カメラの解像度と同じで、画像のきめ細かさ、画素の数を表します。

一方で、時間の解像度とは、動きのきめ細かさ、フレームレートを表します。

つまり、一秒間に連続して映し出す画像の枚数のことです。

 

画素数とフレームレートはどちらの方が影響が大きいでしょうか。

文献[1] の実験によると、画素数を切り替える方がフレームレートを切り替えるよりも、

体感品質に影響が多いことが示されています。

解像度の変化の頻度

最近の動画サイトでは、動画再生中に解像度を切り替える技術が使われています。

(技術の詳細はこちら→ 記事:dash-js-ビットレート制御を図にしてまとめてみた

でも、途中で何度も解像度が切り替わるとかえって見づらいということはないでしょうか。

 

実は、文献[1] の実験で確かめられていて、

特に画素数の変更の頻度が増えるにしたがって体感品質が下がります。

字幕の解像度

こちらは少し意外かもしれません。

普段動画を見るとき、視線はどこに注意を向けているでしょうか?

字幕があったら字幕を追いかけているということはないでしょうか。

実は、この字幕の解像度を上げるだけでも、

動画に対する体感品質が上がることが分かっています [2]。

 

動画という映像に対する良さが、

字を読めるかどうかに影響されるのは興味深いですね。

直前に見た動画の解像度

上で挙げたものは、今見ている動画の何かしらの解像度でしたが、

もはや、今見ているのとは関係のない動画の解像度ですら影響を受けます。

 

文献[3] では、解像度の異なる別々の動画を連続して見せるという実験を行ったところ、

直前に高い解像度の動画を見た後は、その後に見た動画の体感品質を下げる方向に、

直前に低い解像度の動画を見た後は、その後に見た動画の体感品質を上げる方向に、

影響が働くことが分かっています。

 

言われてみると、さっきみた動画の方が面白かった、というように、

無意識のうちに動画を比べることはありますが、

解像度でも無意識のうちに比べて、体感品質に反映してしまうのですね。

機種の影響

スマホで動画を見るにしても、

機種の違いで見え方は変わってきますよね。

性能のいい機種は、当然、動画もスムーズに再生されますし、

ちょっと古い機種だと、動画がカクついてしまうかもしれません。

 

でも、ここで紹介するのはもっと変わった影響です。

それは、機種のイメージによる影響です。

 

文献[4] では、iPhone と 2つの Android 端末を使って、

動画を見てもらい、それぞれの体感品質を調べています。

この実験では、iPhone が最も性能の良い端末になっていて、

平均的な体感品質は iPhone が最も高いという結果になっていました。

ところが、実験の参加者の中には、

iPhone よりも性能の低いはずの端末で見た方が、

体感品質が高くなる参加者もいることが確認されています。

これは、iPhone で見た動画はきっと良く見えるという期待感が先行することが、

裏目に出たためという風に説明されています。

 

先ほど、直前に見た動画に影響されるということを紹介しましたが、

もはや見てもいないイメージの中での動画にも影響を受けてしまうのだから、

不思議ですよね。

自分の選択の影響

自分でこうだと言い切った後、

やっぱり間違ってるかもと思うことありますよね。

そんな時、やっぱり違うとは言いだしにくいと思います。

実は、動画を見ている時でも同じことが起こるのです。

 

文献[5] では、動画の解像度が選べる場合と、

選べない場合で、ユーザーの体感品質を調べています。

実験の結果、同じ解像度であっても、

解像度を選べずに与えられたものより、

解像度を選んで見た動画の方が体感品質が高いことが分かっています。

これは、自分の良いと思って選んだ解像度の動画が、

やっぱりダメでしたとは思いたくないという心理的な効果が、

体感品質に影響したためと説明されています。

まとめ

今回は、実験で報告されている、動画の良さに影響する様々な原因について紹介しました。

言われてみるとそうかもと共感できるものや、意外なものもあったと思います。

動画編集でどうにかできるものは少なかったように思いますが、

上手く使えば、人気 YouTuber も夢ではない….かもしれません。

参考文献

[1] Rodríguez, Demóstenes Z., et al. “The impact of video-quality-level switching on user quality of experience in dynamic adaptive streaming over HTTP.” EURASIP Journal on Wireless Communications and Networking 2014.1 (2014): 216.

[2] Zhang, L., Sun, Q., Wang, S., Su, S., & Yang, F. (2016, June). Towards Video Quality of Experience and Selective Attention: A Subtitle-Based Measurement Study. In Services Computing (SCC), 2016 IEEE International Conference on (pp. 872-875). IEEE.

[3] Xu, Q., Wu, Z., Su, L., Qin, L., Jiang, S., & Huang, Q. (2010, July). Bridging the gap between objective score and subjective preference in video quality assessment. In Multimedia and Expo (ICME), 2010 IEEE International Conference on (pp. 908-913). IEEE.

[4] Kara, P. A., Bokor, L., Sackl, A., & Mourão, M. (2015, May). What your phone makes you see: Investigation of the effect of end-user devices on the assessment of perceived multimedia quality. In Quality of Multimedia Experience (QoMEX), 2015 Seventh International Workshop on (pp. 1-6). IEEE.

[5] Sackl, A., Zwickl, P., Egger, S., & Reichl, P. (2012, December). The role of cognitive dissonance for qoe evaluation of multimedia services. In Globecom Workshops (GC Wkshps), 2012 IEEE (pp. 1352-1356). IEEE.

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